少子時代の妊婦レポート③ 母親学級
私が妊婦レポートで三種の神器とまで言い切った、母親学級。確かに私は言い切った、しかし・・・である。
「母親学級」なるもの、一般的には公的機関の開催するものと、分娩機関が開催するものとある。その目的は恐らくいくつかあって、一つにはママ友ネットワークづくり。もう一つに分娩に対する準備、だろうと思う。ここで強調しなければいけないのは、私が強力に参加を推奨した理由は前者の方、情報ネットワーク作りにいそしめよ、と言うこと。実際に複数の母親学級に参加してみた私にとって、医療機関が開催した、後者の分娩に対する“心の”準備の為の集まりには、違和感を感じちゃったのである。
分娩に対する不安は初産婦だろうと経産婦だろうと程度の差はあれども必ずある。従ってこの医療/分娩機関は分娩に際してどんなケアをするのか、トラブルがあった時の処置はどうなるのか・・・その辺り、押さえておいて当然であるからして、生来楽天家の私メでも「3時間半は妙に長い気がするが、まあ参加しておくか」と。
前半はよかった、望んでいた具体的なプロセスや知識を得ることが出来たから。しかし、耐えられなかったのは後半部分「体験談編」である。3時間半もかかるのはこのせいだったのだ、と気づいても後の祭り。大変居心地の悪い体験をした私であった。
何が居心地悪かったかと言うと、その盛り上がりぶり。3日前に分娩を終えたというパジャマ姿の女性(入院中・ノーメイク)が登場、お産の素晴らしさと母乳育児の美しさ、立会い出産での夫との感動秘話・・・挙句の果てに、現在妊婦の巷ではやっていると言う、素敵なパパママこんにちは、私があなたたちを選びました、みたいな内容の絵本を読んでくれました。
その絵本が人気あるのは構わないが、読み終わった際に部屋にいた私を除く参加者(だいたい20名ほど)全員が泣きくれていた事が何よりも怖かった・・・これ、殆ど宗教だよね?と。動物にとってはごく自然なお産と言う行為を美しく捉えようなんて、まったくもって胡散臭い。
分娩・出産ってそんなに美しい行為か?いんや妊娠はそんなに美しくも楽しくも無かったぞ、またそんな美談にして私を騙そうってんじゃあないだろうな、と一人乗り切れない私がいた。
・・・で、分娩を終えてみての感想。美しくも素敵!ってゆーもんではありませんでした、ハイ。
少子高齢化時代の昨今、自他の出産する機会に遭遇するのは激減している時代だから、分娩・出産自体が稀少になっているのはよく分かる。だからと言って「生命の神秘」みたいに持ち上げ神格化されていることに、人間の本能としての違和感と妙な意図を感じた私である。
確かに数限りない奇跡と偶然が重なり合ってこの「わが子」に出会えるわけですが、子供を授かったのには原因となる行為があったわけで、つまりそれは結果でしょう。しかも、出産はあくまでスタートであって、ゴールではない。って言うか、出産後に控える壮絶な育児バトルとそれに必要な知力・体力・精神力に備える心構えこそ、伝えるべきことなんではないだろうか。赤ちゃんの壮絶なパワー、現代少子社会の我々の多くは、自身の子で体験するまで知りませんでした、と戸惑う人は少なく無いでしょう。
私は思う、分娩・出産を神聖な美しきこととして喧伝するばかりだから、「こんなはずじゃない」とマタニティブルーだとか虐待だとかに繋がるんでは無いだろうか。多分、そういう風に喧伝する側には悪気は無くて、自身の出産はもう遠い昔に終えてしまった人達が、育児していた自分の昔を振り返って美しく思い出しつつ指導している・・・そんな印象。何しろ高齢化社会なもんだから、そういう人の方が、つい昨年出産しましてねー、今、小さな怪獣と奮闘中の毎日よ、みたいな人よりも圧倒的に多いでしょうし。
ということで、私は言いたい、世の出産を考える諸君、出産育児を決して美しいものなどと思うべからず、そんなのは育児を終えた大先輩になってからやっと思えることなんであって、妊娠から始まる出産育児は血まみれの泥だらけの涙まみれのついでにウンチまみれでおしっこまみれの壮絶バトルと心せよ!・・・でも、それだからこそいつか、ああ美しかった、と感じる日が来るんだよね、きっと。
【追記】
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大学教員の日常・非日常 決めつけちゃう人
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コメント
kakuさん、お久しぶりです。
育児に悪戦苦闘なさっている様子が伝わってきます。
>・・・で、分娩を終えてみての感想。美しくも素敵!ってゆーもんではありませんでした、ハイ。<
ものすごく苦しかった、それだけに生まれ出たあとのあの解放感というのは、私には今までに経験したことのないような快感に思えました。
長男の時は初めてのこともあってか、そういうことはなかったけれど、長女と末っ子の時はそうでした。出産直後、「よォし、次いってみよう!」という気になりましたもん。
たぶん、その時なんらかの麻薬物質が脳内を満たすのかもしれません。
初産はたしかに辛いかもしれませんね。
授乳の時の幸福感も充分味あわせてもらいました。病院では、身の回りのことほとんど看護婦さんがやってくれ、3時間おきぐらいに授乳する時や新生児室をのぞく時、自分の生んだ子をまじまじと眺めては幸せ気分に浸ったのを覚えています。
しかし、退院して家に帰った日から「戦争」が始まります。助けてくれる身内がいなくなってからはさらに戦争は激しくなります。
kakuさんはその戦争の真っ只中ですね。
首が据われば、大人と同じものを食べられるようになれば、おむつが取れれば、こっちの言うことを理解するようになれば・・・・と、段階的に楽になってきます。
「クソガキ」はヒドイですよォ。冗談でしょうけど(笑)
授乳してる時、じっと顔を見てると、たまに目をあけてこっち見るんですよね。その可愛らしさといったらもうたまりません。こういうのがあるから辛くても育てられるんですね。
子育てはほんとうに大仕事。
私は、手のかからない子たちだったので、また、実家が近いせいもあって、ものすごく助かりました。
だから、周りが助けてあげることが必要だと思うし、中高年の人たちが手を貸す仕組みづくりを考えなければいけないなと思います。
いづれこういうこともブログに書きます。
投稿: robita | 2005/02/05 14:28
robitaさん、お久しぶり!
>授乳の時の幸福感も充分味あわせてもらいました。病院では、身の回りのことほとんど看護婦さんがやってくれ<
>私は、手のかからない子たちだったので、また、実家が近いせいもあって、ものすごく助かりました。<
実は今のトレンドは、分娩直後からすぐ24時間母子同室。家に帰ってやっとほっとする、と言う状態。お陰で分娩後1週間で体重が妊娠前よりマイナスになりました。
で、今の時代は実家に帰る人もそんなに多くは無く、かと言って親達の手伝いもそう長くはお願いできないので、基本的には自分と夫がやる。つまり、昔に比べて育児と言うのは24時間営業で当たり前(母乳礼賛で子供が望む限り抱いてあげると言う“アタッチメント・ペアレンティング”と言うやつです)とされていて、にも関わらず非常に隔離された状況になる訳です。
そういう中で元来、怪獣と天使の両面を持つ「赤ちゃん」と言う存在に慣れていない人たちが、赤ちゃんの天使の面ばかりを喧伝されていると怪獣になったときに「こんなはずでは・・・」とパニックになる。
例えば、私の場合は根が適当なので「ミルクでもええやん」「もう腰が痛いからしばらく泣かせとこ」とすぐに開き直ってしまうので、そんなにブルーにはなりませんでしたが、周囲のママ達は真面目すぎて「母乳を何ミリリットルを何時間おきに飲むはずだ」「赤ちゃんをこんなに泣かせる私は母親失格」だとか精神的に疲れてしまって、「子供が可愛いと思えない時がある」と言っているのがとても気になりました。
うまく言えないけど、怪獣の時の憎たらしさがあるのは当然で、それでも可愛いんですよね、本当は。それに、「手のかからない子」と言うのも個人の尺度なんでどうこう思うことじゃあないのかもしれない。意外と手がかかった方がいい子になる場合だってあるんじゃない?と思えばいい。
>だから、周りが助けてあげることが必要だと思うし、中高年の人たちが手を貸す仕組みづくりを考えなければいけないなと思います。<
これは仰る通りです。受ける側としてはとても嬉しいお申し出です。でも、私は昨今の妊婦さんやママさんを取り巻くサポート体制や情報量は結構充実している、むしろ過保護なくらいだ、と言うのが実感です。
だから、やはり親となったからには、怪獣である赤ちゃんの大変さを自分たちで何とかしようと思う、それにはある程度の手抜きと妥協と知恵が必要で、自分たちから他人への協力をアプローチしてうまく利用しようと思う様な心構え・タフさを身に付けなくちゃならん、と言うことを書いてみました。
ちょっと言葉足らずだったかな、もう少しうまく伝わるようにちょっと修正してみます、そのうち。
この件に付いてのrobitaさんのブログも、楽しみにしています!
投稿: kaku | 2005/02/05 16:34
Kakuさん、
私はすでに、立会いには参加しないと言ってますので、分娩は妻の記憶と… 3月末以降、ウンチ、ションベン、嘔吐などなどにはがんばって対応するつもりです。
後50日ぐらいかな?
マイク
投稿: マイク | 2005/02/05 18:43
マイクさん、
>立会いには参加しないと言ってますので
実は、うちの夫も立ち会ってません。病院や周りの妊婦さん達にはまるでそれが罪な事であるかのように言われたこともありました、「こんなに神聖な夫婦の共同作業なのに!」とかどうとかって。何でも共同・平等にしないと気が済まないらしく。
でも、私は夫の「トラウマになりそうだからヤダ」と言う気持ちを尊重したいと思いましたし、実際、陣痛が始まったら逆に私が「家で待ってて!」と追い出してしまいましたよ。一人で立ち向かいたいオンナもいるんですねぇ、とわが身で実感(笑)。
奥様はこれから一番体力的に動けなくてきつくなってくる時期ですね、大切になさってね。
それにしてもいよいよ。楽しみですね。赤ちゃんとの最初のご対面の瞬間はやはり感動的だもの。
投稿: kaku | 2005/02/06 09:40
このような事は全く無知ですので、色々と教えてください。
よろしく!!
MikeRossTky
投稿: マイク | 2005/02/07 20:53
マイクさん、
妊娠&育児中に役立ったものはたくさんあるんだけど、特に今重宝しているのがNHK出版から出ている本です。生まれ月によって赤ちゃんに対するケアって異なるから、とても参考になっています。良かったら探してみて下さい。
www.nhk-book.co.jp 『3月生まれの赤ちゃんの本 誕生前から満1歳までの成長とケア』
注)私はNHK出版の回し者じゃあアリマセンよ^^)
投稿: kaku | 2005/02/09 10:59