思いがかさなるその前に・・・
妊婦であるにもかかわらず、長い通勤時間のBGMはHip-Hop、いい歳して?エミネム・アギレラ・ビヨンセ、かなりアグレッシブな気分で仕事に入るのが好きでした。けれど、妊婦生活も後期に入るとなぜか一転して平井堅ばかり聴くようになりました。
その理由の第一は、お腹の中の赤ちゃんが平井堅の曲が流れると、“ぐるぐる”と妙にゴキンゲン風な胎動をすること。胎児は7ヶ月くらいから聴覚が出来上がるというけれど、確かに私にも7ヶ月くらいから腹外(外界)の音に反応を示すことが感じられました。
よく「胎教」とやらで、クラシック(モーツァルトと言う人が多い)を聴くように言われたりするんですが、私の場合、元来がHip-Hop好きで、クラシックを聴いててもイマイチ楽しくない。お母さんが楽しくなけりゃお腹の中の赤ちゃんも楽しくないはず、と勝手に決め付け、クラシックは殆ど聴いていなかった。
けれど、さすがに言葉遣いが上品とは言い難いHip-Hopばっかじゃなあ、と考え直し、ならば日本人なんだから日本のクラシックで行こうではないか、と。私は元々、「星よりひそかに~♪ 雨より優しくぅ♪」(吉永小百合&橋幸夫イメージで)なんぞと口ずさみ、「お前、ゼッタイ1930代生まれだろ」と突っ込まれていたクチなんで、その路線=童謡や戦後すぐくらいの歌謡曲かな・・・なんて探していたら、いました、ドンピシャな方が!そう、平井堅サマです。
彼は今年の紅白で坂本九さんとバーチャルでジョイントして「見上げてごらん夜の星を」を歌いましたが、それが記憶にあったのでしょう、「大きな古時計」などが入ったアルバム「Ken's Bar」を購入しました。私の記憶が正しければ確か同年代の彼、彼にとっての“古き良き時代の”「童謡」「昭和歌謡曲」と私にとってのそれが見事に合致していたのかもしれません。
で、この記事のタイトルの「思いがかさなるその前に・・・」は、既にトヨタカローラのCMでお馴染みの彼の新曲。発売は10月6日。予約していたのでその日に入手して、毎日胎児と共に一日数十回は聴いています。
ねぇ そんな事を隣でキミも思ったりするのかな
思いが重なるその前に強く手を握ろう
そんな彼の美しい歌声で始まるこの曲、私の様な妊婦だけでなく、心がささくれ立ったり疲れたりしている全ての人にオススメです・・・何と言うか、彼の詞・曲そして声と言うすべての要素が、ちと巡りの悪い心を洗ってくれるんですね。
ところでここで彼が言う「キミ」、皆さんはどんなイメージでお聴きになっているんでしょう。やっぱり、恋人?それとも親友?私はCMのイメージのせいもあると思いますが、街で出会いちょっと言葉を交わした小さい子供たちを思い起こします。例えば先日バスで出会った小学校低学年とおぼしき少年。
その日は大雨ゆえに、まだ傘を畳むことを知らぬ彼は、傘に付いた雨露を周囲の乗客に飛ばしつつ、あっちをフラフラこっちをフラフラ。一人での乗車だったせいもあったのでしょう、混んだ車内をものともせず、自分の興味に赴くままに動き回るその行動が、車内の多くのオトナ達を苛立たせていました。
しかし様子を観察するに、彼はどうやら「光るモノ」に興味があるようで、その「フラフラ」は、例えばおじいちゃんの杖の取っ手に付いた夜間でも光るステッカーを触る為。または女子高生が学校のカバンにつけたキーホルダーのさわり心地を確かめる為・・・しかし、人の持ち物を勝手にひっくり返したり光にかざしたりするので遂に彼は気持ち悪がられ、くだんのおじいさんには「やめろ!」と怒られる始末。
しかしそれにもたいして懲りずに次に向かってきたのがわが夫が持っていた、銀色の100円ビニール傘。止めてあるホックをはずし、なにやら確認中。あまりに熱心なので夫の前に座っていた私が「何、ヒカリもんに興味があるの?」と聞くと、「あのね、これは“スライム”と同じ材料?」と聞いてくる。わが夫が「お、スライム、知ってんの?」と返答するとなにやらゴソゴソポケットから取り出して、「ほら!これがスライムだよ」(←かなり自慢気)と。
その後は主にわが夫とスライム談義で大盛り上がり。しまいには、「なんでスライムは冷やすと固まり、温めるとゼリー状になるのか」「なぜ固まったスライムは涙型(←意味不明)なのか」と質問攻め。科学だか化学は大の苦手な私には答えられるはずも無く、何だか早くも子供に足元を見られ口をつぐむ私・・・ううっ、“オトナ”としての権威がっ。
そんなこんなで20分ほど経ち、私たちが降りる停留所での停車ベルを素早く鳴らしてくれた後、彼はふと私のお腹に手をあて「・・・なんで?」と言う。わが夫の「デブなんだよ~」と言うくだらんジョークを無視し、「赤ちゃん、ぼくんちにもいるよ。今、1歳。すごく攻撃的なんだよ」と。その後はもう時間が無くて、話が出来なかったけれど、彼の「モノの仕組み・成り立ち」に対する興味の強さがとても心に残った私。
子供の頃って誰でもあんな風にキラキラ瞳を輝かせて、色々な事に興味があった。「行儀よく座ってろ!」「人に迷惑をかけるでない!」と調教することも大事だけれど、やはり私は、大人たちの役割はそんなことよりも「瞳キラキラ」を伸ばしてあげることなんじゃないかなあと思った秋雨の日。
ねぇ いつかキミは君の夢を忘れてしまうのかな
その時は瞳逸らさずにキミと向き合えるのかな
ねぇ こんな僕はキミのために何ができるのかな
言葉にならない思いだけ強く手を握ろう
強く手を握ろう
(作詞/作曲 平井堅 2004 Defstar Records Inc.)
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コメント
徹子の部屋だったかなんだたっか・・
とにかくトーク番組に出ていた「ひらいけん」が言っていました。
あの「ねえ君」は幼い頃の自分自身だそうです。
みんな持っている「小さい頃の自分」に語りかけているのだそうですよ。
はからずも、かくさんはほぼ当てていたようですね。
投稿: maomi | 2004/10/09 16:33
「電車の中の困ったちゃん」にみずみずしい対応をなさるkakuさんご夫妻。素敵ですね。
子育てをする親なら、たぶん誰でもぶつかるのが「子どもの感性を大事にすること」と「社会性を持たせる(基本的なしつけをすること)」とのジレンマ。
でも、子どもが外で、kakuさんご夫妻のような対応をしてくれる温かい人に出会うことはほんとうに幸せなことだと思います。そういう人に一人でも出会うことがあれば、親は勇気をもって、基本的しつけを身に付けさせるべく「調教」を施すこともできるのにな、と思います。子どもを社会全体で育てるってこういうことなんでしょうね。少子化のこれからはますますそのことが大事になってくるでしょう。
昔、子育て中のお母さん同士で話していた時、あるしっかりママがこういうことを言っていました。「娘(3歳)が、朝ごはんの時、卵かけご飯の卵を混ぜていたのだけど、お箸で白身をつまんじゃあ上に引き上げそれを延々とやっているので“早くご飯にかけて食べなさい”と叱ったら、主人が“待て、○○(娘)は今、卵の状態を研究してるんだ”なんて言うのよ。“研究”って、私あいた口がふさがらなかったわ」
私は大笑いしながらも、「ご主人の気持ちすごくよくわかる。○○ちゃん、卵のとろとろ状態にすごく興味持ったのよ。私も延々やらせてあげたい」と言いましたが、彼女は「それは私もわかるのよ。でもね、もうすぐ入園するのに、そんなこといちいちやらせていたら遅刻もするし周りにも迷惑かけることになるでしょう」
それもそうなんですよね。ここが、子育てでちょっと難しいところ。
ところで、kakuさん、クラシックダメですか。
クラシックって元来そんなに堅苦しいものじゃないと思うんですよ。クラシックの名曲はよく映画やテレビドラマやCMに使われてヒットしますし、ポップスに編曲されてアイドルが歌ったりしてるので一般の生活にずいぶん入り込んでいますよね。
演奏会などにいくとみなさん神妙な顔でかしこまって聴いてますが(だから私は家でCDで聴くほうがずっと楽しめます)、実際そんな小難しいものじゃないです。つい先日も新聞のコラムに作曲家の吉松隆氏がこんなことを書いていました。
「マジメ派のドイツ系音楽だって、かのモーツァルトが下ネタ好きのお調子者だったことはよく知られているし、交響曲の父ハイドンだって“50歳を過ぎているのに、つまらないことでよく笑う小男”などという印象だったそうで、決してお堅い楽聖などではないのである」
つまり、音楽なんて楽しめばいいのであって、それを「教養」などと結びつけるから、クラシックに対して変な誤解が生じるのである、ということでしょう。
軽音楽といわれるものに色々あるように、クラシックにも楽しめないのもあれば胸にぐっときたり癒されたりするものがあるんですね。私はジャンルに関係なく、好きなものは好き。モーツァルト大好きだし、三波春夫の「俵星玄蕃」にはしびれるし、B★WITCHEDのチアダンス曲「ミッキー」は心底楽しい気分になります。
良かったらモーツァルトの「クラリネット5重奏曲」とか「フルートとハープのための協奏曲ハ長調」なんか聴いてみてください。すごく綺麗ですよ。
投稿: robita | 2004/10/12 15:28
maomiさん(naomiさんのタイプミス?)、
平井堅サマの情報有難う御座いました。なんだかオリコンも初登場一位だった様で…私の推測もあながちハズレていなかったようで嬉しいです(^^)v 私も子供達と接するとき、いつも自分の子供の頃を思い出しますから…
robitaさん、
素直な私はモーツァルトの「クラリネット5重奏曲」とか「フルートとハープのための協奏曲ハ長調」、早速聞いてみることにします。それにbabyには聞かせてみようっと!
多分私がクラシックがイマイチ楽しくないのは、そこに「詞」がないからなのかもしれません。そのうち、お金持ちになってオペラなどを聴くようになったら意外とハマるのかもしれません…
投稿: kaku | 2004/10/12 23:11