少子社会の明るいニッポンの未来
私は、「子供を多産せぬ、ワガママな増長したオンナたち」世代のど真ん中。昨今の我が国の史上最低出生率1.29の元凶と見られてることもよおく認識しています。なので、ここは素朴に「当事者・現場の声」を上げてみようと思います。
実は先にあげた1.29と言う、「特殊合計出生率」(以下『出生率』)は全国平均の数字で、東京都のみで見るとなんと1を切るらしいですね。私個人としては、少なくともこの1.29と言う全国平均の数字自体にはさしたる危機感を持っていません。問題だとするならば、以下の2点ではないかと思います:
①出生率が永遠に下げ止まらない場合
②少子高齢化により、国家政策が高齢者に偏重する場合
①の場合、数字的には国家の人口が限りなくゼロに近づいていくわけですから、問題と言えば問題です。ですが、日本という国をとにかく消滅させたく無いのなら、移民受け入れや国籍の出生地主義(違法滞在であろうとなんであろうと日本で生まれれば即、日本人)への方向転換を図れば解決出来ないこともありません。
また、「下げ止まらせる」ことを主眼に置くならば、現在の「産みたいけれども諸事情で産むことが出来ずにいる」人々の障害を取り除くことでかなり改善されると思います。その中核は婚姻制度なんだと思いますが、これは、北欧諸国が既に行っている政策で、その効果は証明されています。
②の場合は深刻です。すでにその傾向は顕著ですが、国政選挙を行っても争点になるのは年金問題・介護問題・医療保険問題ばかり。確かに、定期収入が無ければ当然減額される年金は困る訳で、焦点は「どこから財源を取るのか」にまっしぐら。だからこそ、子供たちの生まれた後の教育内容そのものよりも、「とにかく出生率の上昇を!」となってくる。
でも、私に言わせれば、「出生率だけを上げようと躍起になったって、あなたの年金額が減らないとは限りませんよ」と。
第一に、仮に現時点で「たくさん産めよ」政策を行って、万が一、出生率が3.0になったとしても、その子達が年金財源として立派に育つまでには少なくとも20年くらいはかかる。むしろ彼らを育て上げるまでの間、公的・私的教育費がかかるので、結局、国家予算の急増を必要とします。
第二に、これは中国が既に直面している問題ですが、現時点では既に団塊世代以下の世代の人口は減っているので、これを急速に増やすと言うことは、その人口構造が砂時計型となるわけで、だとしたら、砂時計のウエスト部分に当たる世代が「稼ぎ頭」の年齢に達した頃、彼らへの負担は莫大な物になるはずです。
第三に、育て上げた人間が、立派に年金財源として羽ばたくとは限りません。信念で年金は払わん、と思う人間を一人残らず駆逐するのは難しいでしょうし、そもそも労働意欲および機会が無ければ払いたくても払えないでしょう。第一せっかくたくさん生まれても、日本人を辞めちゃう人だってゾロゾロ出てくるかもしれません。
第四に、現行制度の元では、誰に任せようが年金運用の失敗リスクはゼロにはならないでしょう。
・・・かようにして、少子化を年金問題などに絡めて考えてみたって結局答えなんぞ出るはずも無い不毛な論議と言うことが分かってきやしませんか。「産まないオンナ」のワガママを責めてみたって、それはただの八つ当たりにすら見えてくる。
そもそも、出生率はいくつなら安心だ、と言うのでしょうか。第2次世界大戦前の出生率である4だの5と比べても何の意味もありません。当時は乳幼児死亡率も高かったはずでしょうし、当時の日本と言う国家が今よりもずっと少ない国民全員を食わせることさえ出来ずにいたから、移民を決意した人もあったのでしょう。
だったら、どうすりゃいいのよ!の答えはどこにあるのでしょう・・・ええ、ええ、私しゃ、コレを真面目に研究してはやウン年。私の答えは、“国家の礎は人間にアリ”です。でもそれは、人間の「数」ではなくて「質」にアリ、なんです。
まず、生まれてくる子供の数が多少減ったって、その分一人当たりの「生産性」が高まれば問題は何とか解決出来るしょう。むしろそれを考え、そのために“投資”する事には無関心でいる「老いてゆく側」の問題ではないかと私なんぞは思います。つまり、本当に問われているのは、「老いゆく者達」である我々の描く「未来の日本像」なのではないでしょうか。
だから私はいつも極論で締めるんです、さあ、義務教育を高校まで延ばしましょう!高校までのすべての日本国民に1年以上の外国留学を認めましょう!と。
その為には、国家が保証する年金額は減らし、その分を教育費に回す事をすべての国民に了承していただく必要があります。そうすると老いも若きも、子アリだろうと子ナシだろうと地域の学校の授業参観へ繰り出して、「学校経営はどうなっとるんや」だの「なんで教師が国歌も歌えないんだ」だのと、地域の人間がどんどん口出しする様になるでしょう。それでこそ、公的教育!と思いませんか?
【追記】
この記事は、週刊!木村剛 2004.10.15 日本は高齢者天国なのか?:48%対3%にトラックバックさせていただきました。
この記事は、NILさんblog お金について考えたこと 2004.10.16 [少子化]昨日の自分の記事に突っ込んでみる にトラックバックさせていただきました。
| 固定リンク




















コメント
おはようございます。ジャンバラヤで中学校・高校を担当している頑固親父です。
頑固親父に負けない位に「偏った意見」ですが(笑)、鋭く現実の問題点を突いていると思います。
年金問題は、すでに完全に破綻している事を認めないといけません。頑固親父は、自分が二十歳の頃、ひょんな事から年金の制度に興味を持ち、独自に試算をしたりして「これは絶対に成り立たない。どこかで破綻するので、自分は貰えない」と確信し、国民年金は1円も払っていません(涙)
途中で勤め先の関係で泣く泣く社会保険を払っていた時期がありますが、それ以外は払っていません。数年の内には、あっと驚く大逆転の大技が採用されると思います。
すでに破綻している物を、誤魔化し続けている現状なので、少子化と遠近の破綻は、現時点では分けて考える必要があります。頑固親父が試算を試みた二十数年前の時点なら「少子化の影響を考え、対策を進める」時期でしたが、Kakuさんが書いているように今は無意味です。時間的に間に合いません。
年金は諦めて、せめて教育に目を向けないと、本当に亡国になってしまいます。
これからも、どんどん偏った意見を寄せてください。
投稿: 頑固親父 | 2004/09/14 08:06
TBありがとうございます。さすが、研究者ですね。
教育については、おっしゃるとおりだと思います。それとも国は、「教育は自己責任で」「国は教育の面倒を一切見ない(義務教育の授業料が非常に高くなる)」と言うのでしょうか。それじゃ、ますます子供を産む人がいなくなるでしょうね。
高齢化社会による生産性の低下を憂える声もありますが、なら、生産性をあげればいいんですよね。その手の努力をしないで「数合わせ」のパズルをはめこもうとしても、しらけるだけです。
といっても、出産適齢期(をもうすぐ超えようとしている?)の女性としては、やはりどこかで「申し訳ないなぁ」と思っているワケでして。私達は罪悪感を覚えて当たり前の人間なのでしょうか。。。
投稿: miki_renge | 2004/09/14 10:42
頑固親父さま、初めまして、コメント頂き嬉しいです。
あの、やはり私、偏ってますか。うーんだから昔からあだ名が「女・高倉健」なんでしょうか(ちょっと違うか)。
どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。頑固親父さまのblogもとても読み応えがありますね。これからじっくり読ませていただこうと思います。
miki_rengeさん、早速のコメントを有難うございます。
>といっても、出産適齢期(をもうすぐ超えようとしている?)の女性としては、やはりどこかで「申し訳ないなぁ」と思っているワケでして。私達は罪悪感を覚えて当たり前の人間なのでしょうか。。。<
そうそう、そのお気持ち良く分かる!だから何となく声が小さくなってしまうんですよね。だから腹に力を入れて声をあげようと思ってます。
投稿: kaku | 2004/09/14 17:47
はじめまして、くりおねと申します。
ジャンバラヤで「いまどきの子どもたち」を担当しております。
また、公的年金タスクフォースのメンバーでもあり、kakuさんのこのエントリはまさしく私の活動範囲どんぴしゃり、という訳でした。
kakuさんのエントリの内容は、私は「偏っている」とはまったく思いませんでした。まあ私自身も子なし夫婦なので、そういう部分では貢献していないからそう感じるのかもしれませんが、人に産め産めという前にやることいっぱいあるんじゃない?だいたいそれ自体本当に必要なの?なんてことを思ってしまって。
>そのために“投資”する事には無関心でいる「老いてゆく側」の問題ではないかと私なんぞは思います。つまり、本当に問われているのは、「老いゆく者達」である我々の描く「未来の日本像」なのではないでしょうか。
というところ、まさにその通りだと思います。
とりとめないコメントになってしまって申し訳ありません。今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: くりおね | 2004/09/15 10:17
くりおねさん、初めまして、お言葉をいただき嬉しゅうござります。実は図太い私メ、「偏っている意見」と言うのは褒め言葉と受け取っております。問題なのは情報収集および前提となる知識に恣意的な偏りがある場合ですよね。それに、「バランスのいい意見」は結局「評論」に過ぎずつまらんし、なんて。
ところで「いまどきの子供たち」とblogを先ほどちらりと拝見いたしました。失礼でなければ教えていただきたいのですが、くりおねさんはどの様な経緯でこのカテを担当されることになったのですか?・・・いえね、私、子供がいなくても公立の小中高大学校の授業参観に参加したり子育てに物申す機会がなんで保証されてないの、税金払ってるのに・・・、とずっと思っておりまして、でもそういうこと言うとだいたい「自分の子でもないのに」と言う反応が結構あったもので。
投稿: kaku | 2004/09/15 20:32
たびたびこんにちは、くりおねです。
ジャンバラヤは、発起人のかずささんのブログでお手伝いを志願したら、カテゴリごとの分担を決めてくれました。私自身も正直カテゴリを持つことになるとは思ってなかったので驚きました。おそらく直接的に進行形の育児とリンクする「小学校」「中学校」などのところよりはアプローチしやすいのでは、という配慮があったのではないかと思います。何せ限られた人数でやってますので。
>「自分の子でもないのに」と言う反応
というのは、わからないでもないですが、家庭の力が弱まっている昨今、コミュニティの力をうまく使えばいいのに、と思ってしまいます。大勢で育てるって発想になるといいのになあ。なんて、現実を知らない奴の言葉だと言われればそれまでですが。
投稿: くりおね | 2004/09/15 23:47
公的年金タスクフォースの代表、および「ジャンバラヤ」でライターを務めております McDMaster です。
kaku さんのエントリ、タスクフォースとしてもたいへん勉強になります。実に当を得た、かつ、発展的な視点をお持ちで恐縮いたしております。できればタスクフォースの一員としてご協力をお願いしたいくらいです。
ですので、たとえ kaku さんがお気になさらなくとも、一部に不躾なコメントがあったことにはまるで我が事のように心を痛めております。
もし時間があれば、公的年金タスクフォース公式 blog からもトラックバックさせていただくことといたします。
今後とも、お見知りおきをいただけますと幸いです。
投稿: McDMaster | 2004/09/17 00:24
再三のコメントで恐縮です。くりおねです。
昔書いた記事で「産まない自分」についてのものがあったことを思い出したので、おそだしトラバで恐縮ですがトラックバックさせていただきます。
投稿: くりおね | 2004/09/20 10:16
トラックバックありがとうございました。経済学をかじった立場から書くと、
経済成長 = 労働人口の伸び + 生産性の伸び
なので、教育に力を入れるべきという方向はあっています。今まで教育は一種の聖域で、「長期的視野」という建前から結果がシビアに問われることはありませんでしたが、これからはもう、そういうことはなくなると思います。
投稿: NIL | 2004/10/18 22:44
TBさせていただきました
少子化、経済、教育、女性参画社会は
もう四味一体で考えていくしかないですね
年金削除については本音を言えばお金をたくさん
持っている人にはほとんど配布しなくてもいい気がします
それですと年金未納が問題になると思いますので
民主党の言うように税金に財源を求めるのが良いでしょう
或いは年金はみな一緒ですが累進性を高めるとか・・・
投稿: tkns | 2005/04/04 22:00